桂離宮参観記



参観受付は20分前から。到着した順に待合所に案内される。
10分前からビデオでの離宮案内が始まり、
参観予定時間ちょうどにガイドが現れて、参観スタート。
後ろには少し強面の皇宮警察が護衛・監視のために列に加わる。

少し進んだ御幸門前で、ガイドの方の挨拶と注意事項の伝達。
勝手な先入観で、参加する前は、「宮内庁管理の離宮参観ってとても厳しい雰囲気で、
ちょっとしたことで愛想もなく怒られそう」と思っていたが、
ガイドの方(注1)は全く高圧的ではなく、とても丁寧なしゃべり方。
皇宮警察の方も参観者の写真を撮ってあげたり、ガイドの方とはまた違う案内をしてくれたり。
参観者の視点に立っているんだなーと改めて見直した。
 

 

参観者本位の丁寧な対応

写真撮影に関しては、場所限定でOK。
かなり前までは撮影禁止だったことを思うと、写真に美しい景色を残せるだけでもありがたい。
 
桂離宮の撮影禁止は表向き「苔の養生のため」となっていたが、
本当の理由は一部参観者の撮影マナー欠落(注2)にあったとか。
外国人の参観者が列からずれて写真に熱中したり、床に土足で上ろうとしたハプニングもあったが、
日本屈指の美しさをレンズに収めようとする気持ち、
習慣の違いを考慮して、このままぜひ撮影解禁を続けて欲しい。
 



結果的にガイドの方も警察の方も終始丁重な対応で、心地よく参観できたのは本当に気持ちよかった。
「決められた人数で厳格に」という方式に嫌気を感じていたが、
実際に参加してみると意外にこの方法、普通の寺院でも利用できるのではと思ったくらい。
宮内庁や皇宮警察の担当者の方みたいに、
僧侶や寺の関係者がここまで謙虚、丁寧、鷹揚に引率できればの話だが。


 

“お上”意識も見え隠れ


ただ、不満というか疑問も残った。例えば書院。障子はすべて閉められたままで内部はいっさい見られない。
関係者の方に「文化財保護の目的でだめなんですか?」と訊ねると、
「いいえ、いまでも皇族や国賓の方が利用されるからです」
とのこと。
 
皇族がお使いになる(それも年に一度あるかないかとのこと)ため、
建物の内部を国民が見てはいけないとは、ちょっと納得がいかない。
やはり宮内庁には「皇室の方は特別にお迎えする」が、「国民には見せてやっている」という感覚があるのかな。
 



皇室が多くの国民から親しまれ、日本の象徴として定着してきた現在、
「国民とともに歩む開かれた皇室」を宮内庁が目指しているとしているなら、
些細なことで見え隠れする旧態依然とした意識の変革が必要なのでは?
現場の方々が参観者本位の丁寧な引率、興味を引くガイドを心がけておられただけに、
これだけがことさら残念に思えた。




個人的な好みはあるだろうが、桂離宮。庭も建物も意匠もおそらく日本的な美しさでは最高の水準。
手続きが面倒と思う人も多いと思うが(自分もそうだった)、
これだけの庭と建物を1000円で参観できる機会をぜひ利用すべきだと思う。

参観については、宮内庁ホームページでご確認を。
 



参観経路は、
御幸道・外腰掛天橋立松琴亭外観松琴亭内部賞花亭・園林堂笑意軒書院月波楼御輿寄
の順となります宮内庁ホームページの図を参照に加筆)


       
           
(注1)ガイドの方は残念ながら当たり外れがあるようです。
複数回訪れていて、たった一度だけでしたが、ほとんど解説せず、文字通り「引率」するだけの若い女性職員に遭遇しました。
ただこの場合、解説が少ない分、それぞれの場所でゆっくり写真を撮影したり、見学したりすることができたので、捉え方次第ですね。
 

(注2)毎回と言っていいほど、立入禁止の場所に踏み入れたり、他の参観者に全く配慮せず我先にと写真を撮影しようとする人がいます。
特に「海外で観た恥ずかしい日本人観光客」に共通するような感じの、中高年の男性、夫婦に多い印象を受けました。


あと桂離宮に限らないけど、大声で会話したり、携帯で話す人。
まだ建物や庭に関する内容なら百歩譲ってがまんできますが、
「隣の田中さんとこの娘さん、離婚したんやて」的などうでも良い会話をなぜここでするのか…。



修学院離宮の参観記


 

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