日比谷・霞ヶ関   東京の近代建築  小林一三翁   



個人的にいちばん「東京」らしいと感じる街、日比谷。
有楽町駅から晴海通りに出ると、ビルの向こうに千代田の杜、
一挙に視界が広がる感じは東京ならでは。地方都市のような埃っぽさがない。

日比谷公園を除けば、意外に狭いエリアですが、
この一画に東京宝塚劇場や日生劇場、映画館、帝国ホテルなどが集結、
華やかな雰囲気を醸し出しているのもいかにも「東京」らしいです。

近代建築では、つい最近まで
三信ビルという東京でいちばん好きな建物があったのですが、今や更地に。

 
三信ビル外観
フィリピン独立の英雄、ホセ・リサールの胸像前から)

古色蒼然としたビルの中に入ると、2階まで吹き抜けのアーケードがあり、
柱には鳥の彫刻やアラベスク模様の装飾が施され、まさに「建築の杜」だったのに、
解体は本当に残念。保存を求める運動も、企業方針を変えることはできなかったようです。
クリスマス前の上品で簡素な装飾とか、最高に好きでした。



せめて跡地に、いま流行りの薄っぺらい箱モノが建ちませんように・・・・。
ガラス張り、取って付けたような竹や緑、奇を衒った彫刻などは食傷気味です。

 三信ビル内部

日本で最初の洋風公園とされる日比谷公園にも、南北に近代建築が健在。
北(皇居)側にはこじゃれた山小屋風の旧日比谷公園事務所(明治43年竣工)、
南(新橋)側には威風堂々とした日比谷公会堂が建っています。

 旧日比谷公園事務所

 日比谷公会堂

公園を横切ると、政治の中枢・霞ヶ関。
法曹会館を過ぎると、華麗な赤煉瓦の建築物が見えてきます。
法務省の庁舎で、旧司法省本館。
明治政府のお雇い外国人が構想した首都改造計画の一環として、明治28年に竣工しました。

 旧司法省本館

この建物ほどのインパクトを持つ庁舎は残っていませんが、
日本の政治を動かす国会議事堂、財務省、文部科学省の建物も戦前の建築物です。

 国会議事堂

それにしても、「大蔵省」という名前が懐かしいな。
なんか日本古来の言葉の重みがあって。
いろいろ内部で問題があったとはいえ、
愛国心を鼓舞するならお役所自らが日本語を大切にしてほしいです。


 文部科学省

Note:

三信ビル―設計:横河工務所(松井貫太郎)、竣工:昭和4年、現存せず  
旧日比谷公園事務所―竣工:明治3年、日比谷公園北側
日比谷公会堂―佐藤功一、昭和4年、地下鉄三田線内幸町すぐ
司法省旧本館―エンデ・ベックマン、明治28年(平成6年改修)、地下鉄各線霞ヶ関駅5分、有楽町線桜田門駅すぐ
国会議事堂―臨時議会建築局、昭和11年、地下鉄各線国会議事堂前駅すぐ
文部科学省―大蔵省営繕管財局、昭和8年、地下鉄銀座線虎ノ門駅(財務省―同、昭和14年、同駅3分)


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