百貨店の近代建築   



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子供の頃は両親と百貨店に出かけ、 屋上の遊園地で遊び、大食堂でお子様ランチを食べる。
自分たちが子供の頃、都市に住んでいた人のほとんどはそんな生活スタイルを繰り返し、
それを楽しみにしていたのではないでしょうか。

その百貨店が京阪神の人間とっては大丸MAP)、阪急MAP)、
東京の人にとっては三越MAP)だった旧き佳き時代。
いまは娯楽施設や外食設備など「行き先」はきわめて多様化し、 百貨店だけが特別な存在である時代ではなくなりました。
何もかもが平均化しつつある一方で、薄っぺらい高級化がはびこる現在。
それだけに歴史の重みを持つ百貨店の空間と建築が いっそう貴重な存在になりつつあると思うのですが、
大改築などで「今風」に姿を変えてしまう(薄っぺらい箱モノ化?)百貨店をみるたびに
「百貨店よ、お前もか・・・」と、寂しい感慨に捕らわれてしまいます。
百貨店はいつまでも歴史の重みを背景にして、 豪華で堂々と、かつ庶民に夢を与える存在であって欲しいものですね。



 
 

阪急百貨店梅田本店

大阪を代表する百貨店で、他都市にはない伝統を感じられた貴重な商業施設でしたが、
建て替えで「明るく軽やかな」雰囲気に一変しました。
新しくなって最初に行ったときは「郊外のショッピングセーター」と思ったほどです。



日本最大の商業地区である梅田。阪急としての企業戦略などがあると思うので、
利用者がどうのこうの言う立場ではありませんが――。
ただ、各地から来た人に「大阪ってすごいでしょ?」と胸を張って紹介できる
以前のような百貨店の雰囲気は永久に失われてしまったという思いが強いですね。

 
 
 
 

大丸心斎橋店 玄関 エレベーター 踊り場 外観 

おそらく日本で最も美しく、豪華で格式ある百貨店。ヴォーリズ設計の名建築です。
重厚な外観だけでなく、店内やエレベーターの装飾も見事。

ただ大丸は心斎橋店の建て替えを発表したようです。
まさか正気?? この名建築を壊すことが、どれだけのイメージ悪化につながることか。
「一般の人はそれほど建築に興味は持っていない」との考えがあるのかもしれませんが、
たとえ建築に興味を持っていなくても、知らず知らずのうちにあの雰囲気での買い物を楽しんでいる客は多いと思います。
(既に改装済み。新装後は訪れていないのでどうなっているのか未確認)

 
 
 
 

高島屋大阪店

戦前の名建築を取り壊す悲しい企業が多い中、高島屋の大阪店はしっかり外観を保存したまま改築を終えました。
かつての意匠がさらに新しく輝きながら、伝統を感じさせる風格を漂わせています。
どちらかと言えば個人的にあまり縁がなかった百貨店ですが、大阪店の建て替えで一挙に好感度が高まりました。
ミナミのターミナルにふさわしい重厚な佇まいは大阪の大きな財産ですね。
キタに親しみを持つ自分にとっては、キタにこのようなターミナルがなくなって悲しい限り。

 
 
 
 

高島屋東京店 日本橋・京橋  MAP

他の大手百貨店に先駆け、国の重要文化財に指定された高島屋東京店。
個人的には大丸心斎橋店の雰囲気が好きですが、対照的なシンプルな外観、内装は上品な雰囲気を漂わせています。


 
 
 
 

三越本店 

東京を代表する老舗百貨店の三越。
地下鉄の駅に名前を残すほど、東京では大きな存在です。
地下鉄への入り口も旧字体を使用し、とても洒落た雰囲気に。





 
 
 

大丸京都店

大丸発祥の地、京都店の玄関(四条通側)はどこにでもるビルになっていますが、
東側には古き良き面影を伝える以前の建築が残されています。
2014年8月現在、京都店は大幅な改装中。
完成後にはシンボルである孔雀も復活し、心斎橋店をモチーフにした外観に生まれ変わるようですが、
この東側の貴重な遺構も取り壊されてしまうのかな。

店内、特に地下に至る階段に残るヴォーリズ建築の遺構はぜひ残してほしい・・・。

 

伊勢丹新宿本店 新宿・河田町  MAP




横浜松坂屋 伊勢佐木町・根岸  MAP

   

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