町家の日 大型京町家見学会 「1日チケット」は何のため? 管理人のひとりごと



3月8日は「町家の日」(3月の英語「March」と8日の「や」を掛けて)。
京都市や観光協会の後援を得て、主催者の「町家の日普及実行委員会」が
京都を初め、各都市の町家でいろいろなイベントを開催し、
町家の魅力、良さを広く紹介して保存につなげようとする素晴らしい趣旨のイベントです。

自分は特に「町家の日」の週末に公開される町家の見学をずっと楽しみにして、
企画の一環である「大型京町家見学会」に2023年3月11日に参加しました。
待ちに待ったこの日、さっそく三条通の「釜座町家」で
町家の共通見学券となる「1日チケット」(1千円)を購入し、お目当ての町家に向かいました。

まず訪れたのは重要文化財の町家、杉本家。
ようやく憧れの町家の内部と庭を観られる!と思ってチケットを見せたところ、
「このチケットでは土間しか見学できません。
内部見学にはさらに1千円を支払ってください」

え。そんなの訊いてない。と一瞬頭が混乱したので、とりあえず次に行こうと思って長江家に。
すると、なんと長江家でも「このチケットでは玄関しか上がれません。内部を見学するにはさらに700円を」。

おいおい、なんなんだこの「商法」!
怒りを感じたのは、追加料金そのものではなく、そのやり方です。
町家の愛好者なら、保存、有効活用のため2000円を支払うことはたぶん全く問題なし。
なのに、なぜ最初から、公開される町家で普通に料金を支払う形せず、
このような事前説明もない追加料金を支払うシステムにしたのか――。

いったい最初に払った1千円の「1日チケット」にはどんな意味があるんだろう。
杉本家と長江家が位置する四条通界隈からわざわざ三条通まで呼び寄せ、
土間と玄関しか見られないチケットを1千円で販売する意義は何だったんだろう。

確かに「各町家の見学範囲が異なります」との注意書きは小さく書いてありましたが、
最初からその旨をきちんと明記しておくか、何らかの通知は必要じゃないでしょうか。
観光と文化面で全国をリードする京都の団体がこのような「商法」を平気で行っていることに、
京都の人間として、町家を愛する者として深い悲しみと憤りを感じました。

町家への関心を高め、愛好者を少しでも増やすという趣旨とは真逆に、
こんな「土間しか見られない中途半端な一日チケット」を販売するやり方なら、
結果的に町家への幻滅しか感じなくなる逆効果しか生まないのではないでしょうか。
他の企画がどれも素晴らしかっただけに、この1日チケットという意味不明な存在が本当に残念でした。


一方で「町家の日」に協賛する形で、地元不動産会社の八清が京町家「玄想庵」で開催したイベント。
町家を借り切り、フリーマーケット方式で出展者が品物を販売するという内容です(来場者の参加は無料)。
こちらは入場制限が必要なくらいの大入りで、大盛況。多くの人は買い物が目当てだったのかもしれませんが、
ある程度の時間を過ごすうちに「町家って素敵だなぁ」と感じる人が多かったような気がします。
中庭には満開の梅の花が咲き、ショッピングの合間に庭を眺める人もちらほら。
八清さんのこういうイベントこそ、町家の愛好者を増やす素晴らしい企画と痛感しました。

町家を愛する一人として、「町家の日」の趣旨とイベントには多大な期待を抱いていただけに、
失望だけが残った今回。八清さんの素敵な取り組みで救われた形でした。





更新履歴  トップページ  タイトルのロゴ/「Yuky R」さん作成   Copyright © Goto N.  All Rights Reserved