― 3軒の茶室と織田信長の菩提寺―
総見院は、希代の英雄である織田信長の菩提寺として有名ですが、
境内に多くの茶室があることでも知られています。
豊臣秀吉が織田信長の一周忌の追善供養のために建立したと伝えられ、
この正門と土塀は創建当時(天正11年、1583年)の姿を伝えています。
北庭には「ほう庵(ほう=まだれに龍)」、寿安席、香雲軒と名付けられた3軒の茶室が建てられています。
こちらの茶室は、いちばん奥に建つ寿安席
寿安席は、大正時代に尾道出身の実業家、山口玄洞が寄進しました。
山口玄洞は、興臨院の涵虚亭(かんきょてい)のほか、神護寺など多くの寺社の復興に尽力しました。
横浜の大実業家、原三渓もそうですが、
営利の追求だけでなく、日本の伝統文化に大いに貢献した経済人はもっと知られてもいいんじゃないかなと思います。
寿安席前のこの区画は蹲踞(つくばい)の跡(?)なのでしょうか。
味わい深い石で構成されているので、目を奪われました。
茶室の間は回廊で結ばれています。この長く続く回廊は、総見院ならではの印象的な光景
寿安席に行く途中、香雲軒と並んで建つ「ほう庵(ほう=まだれに龍)」
いちばん手前に建つ香雲軒
香雲軒の露地。
総見院は茶の湯との深い縁があり、秀吉が開いた大徳寺大茶会では総見院の方丈が使用されたそうです。
簡素な美しさを湛えた香雲軒の床の間
夕刻の茶室に秋の長い夕日が射し込む風景。ほっと心がため息をつくような癒やされる時間です。
Copyright © Goto N. All Rights Reserved.
|