大丸別荘 ―高級旅館の池泉庭園―  

 



【所在地】 福岡県筑紫野市(二日市温泉) 【庭の形態】 旅館の庭池泉庭園 【面積】 1万1600平方メートル
【創業】 慶応元年(1865年)
【公開形態】 利用者のみ見学可能 【撮影】 庭園は自由 【訪問日】 2023年5月









二日市温泉だけでなく、九州を代表する高級旅館の大丸別荘
品格と伝統を感じさせるサロンは、照明や椅子などの調度品、窓の配置など洗練された空間に。










スタッフの方の案内で庭へ。はるか以前に訪れた時の遠い記憶に残っていた美しい風景が拡がります。









庭園の中心的な存在は「筑紫橋」と命名された橋廊。三渓園の亭しゃ(しゃ=木偏に射)と似た造りで、
ここに腰掛けて庭を観ることもできます。






庭は筑紫橋を中心に拡がる造りになっていて、面積は3500坪(約1万1,600平方メートル)。
どの部屋からも庭を眺めることができるようになっています。










筑紫橋から対岸の大正亭に向かって拡がる池泉庭園に配された沢飛石。
緑の茂みの中には、風景を引き締めるようにいくつかの石燈籠も立てられています。






大正亭は大正7年築の建物で、昭和天皇も宿泊されたそうです。






こちらは大丸別荘で最も古い建物の「蓮魚庵」。離れとなっているため、別世界のような特別の趣









訪れた時は新緑につつじや蓮の花が彩りを添える季節。
菖蒲は少し時期が早かったようですが、季節ごとに旬の花や紅葉が楽しめるようになっています。








by Yuky R さん

至るところに「和」の趣向を凝らした造形が散りばめられており、伝統を感じさせます。







最初に大丸別荘を訪れたのは、父の転勤で福岡市に住んでいた幼稚園時代。
せっかくの九州転勤ということで両親と数多くの温泉に出掛けたのですが、
当時は温泉や旅館の良さもよく分からない幼稚園児。
その中で唯一、心がこもったサービス(スタッフの方に庭で遊んでもらったり)や庭の綺麗さなど、
大丸別荘だけは子供心にとても印象に残っていました。
いつかまた幼い日の両親との想い出を温ねて、訪れたいと思っていたところ、
ちょうど福岡の上司ご夫妻のお宅を訪れる機会があったので、二日市まで足を伸ばしました。


あまり時間もなかったことから、はるか以前に宿泊して印象に残っていたことをお話しし、
お庭だけでも見学したい旨をお伝えしたところ、快く認めてくださり、約束の時間に大丸別荘へ。
少し蒸し暑い日だったので、汗を掻きながら到着したところ、
「どうぞ、まずサロンでご休憩ください」との優しいひと言。慇懃無礼でもなく、本当に心がこもったご対応、
このような心配りが、幼児だった自分の中でも強烈な印象を残していたのでしょうね。

温泉をめぐる悲しい話題もありましたが、超一流のサービス精神はスタッフの方々に受け継がれ、
京都の料亭をしのぐほどの洗練された、心がこもったご対応は以前と変わらず。
この素晴らしいサービスが今後もずっと伝えられていくことを心から願っています。

幼き日の大切な想い出に、新たな想い出が加わった再訪。ありがとうございました。




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