護国寺月光殿 茶室月窓軒、化生庵、艸蕾庵

 (東京都文京区)  東京の庭園  地図  東京の茶室・露地





徳川5代将軍、綱吉の生母・桂昌院が建立した東京有数の名刹、護国寺。
デジタル茶の湯マップというサイトで多くの茶室が存在することを知り、訪れてみました。
京都の町人出身で将軍生母になった桂昌院への興味と、友人が近くに住んでいたことから、
初詣などで何回か訪れたことはあったのですが、境内に多くの茶室があり、
東京の「茶道の本山」的な存在になっているとは全く知りませんでした。






目指すのは月光殿と、その周囲に建てられた3軒の茶室(月窓軒
げっそうけん、化生庵 けしょうあん、艸蕾庵 そうらいあん









通常非公開の月光殿。京都の寺によくありがちな、裏口や勝手口からではなく、
葵の紋が彫られた正門から参拝できたのはうれしかったです。






月光殿は、滋賀県・三井寺(園城寺)日光院の客殿を移築したもので、重要文化財。桃山時代の建築とされています。









桃山時代の書院様式を伝える貴重な遺構で、
三井寺には現在も、同様の様式の建築が残されています(光浄院客殿、勧学院客殿=ともに国宝)。
三井寺(滋賀県=近江国)、そして桂昌院が、護国寺の庭や建造物に大きな影響を与えていることは、後述します。












向こうに見えるのは、茶室「艸蕾庵」と多宝塔、そして腰掛待合の横に釣鐘。
なぜこのような珍しい組み合わせになったのか。その答えは「近江八景」にあります。
近江八景の一つ、「三井の晩鐘」に合わせ、月光殿が本来位置した三井寺に因み、釣鐘が掛けられたとのこと。
多宝塔も、近江八景の「石山の秋月」から、石山寺の多宝塔(国宝)を模して設置されました。






こちらは茶室「月窓軒」。ここでもう一つの共通項に気づきます。「月」光殿、石山秋「月」に因んだ多宝塔、そして「月」窓軒――。
これは桂昌院の「桂」が「月」を連想させることから(中国の伝説や「月桂樹」、桂離宮のある京都・桂=月の桂として有名などなど)、
「月」につながる建物が多くなっているそうです。近江八景と桂に因む月。
このようなメタファーが潜んでいる護国寺にあらためて感動しました。






月窓軒とつながる化生庵









月窓軒前の反り石と化生庵の露地









艸蕾庵と露地。茶室については、デジタル茶の湯マップに詳細な紹介と説明が掲載されています。






艸蕾庵の腰掛待合から観る月光殿と茶室「月窓軒」






月光殿は通常非公開で、何らかの催しの一環として、または数年に1回ほど特別公開の日があるようです。その機会をお見逃しなく!






護国寺不老門と茶室群



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