妙心寺桂春院            



by Yuky R

【所在地】 京都市右京区 【庭の形態】 苔の庭坪庭・露地 【作庭時期】 江戸時代初期 【作庭者】 玉淵坊
【寺院創建】 慶長3年(1598年) 【公開形態】 常時公開
【撮影】 自由 【訪問日】 2004、13、23年4月(Yuky R




by Yuky R

妙心寺境内の北側に位置する桂春院。関ヶ原の戦いに先立つ2年前、
織田信忠(信長の長男で、本能寺の変により自害)の次男である織田秀則が創建しました(当時の名称は見性院)。
多くの塔頭が観光客に門を閉ざす中、桂春院は常時公開されている貴重な寺院。
国の名勝に指定された庭園をいつでも見学することができます。





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桂春院には、趣が異なる4つの庭(清浄の庭、侘の庭、思惟の庭、真如の庭)で構成されますが、
全体的に共通するのは苔と新緑の美しさ。特にここまで手入れが行き届いた美しい苔庭は京都でも指折りの存在です。



清浄の庭







桂春院の4つの庭の拝観順路で、最初に見学するのは「清浄の庭」。
大徳寺大仙院と似た作りの花頭窓で、続く「侘(わび)の庭」と隔てられ、坪庭のような趣になっています。










「清浄の庭」はその名称通り、清楚で清浄な雰囲気の坪庭






冬には木々の葉も少なくなり、庭は静かな「わびさび」の境地に


侘(わび)の庭、思惟の庭







侘の庭は書院の囲む形でつくられた庭で、書院の背後に設けられた茶室「既白庵」(非公開)に通じる露地となっています。
茶の湯で栄えた大徳寺とは対照的に、妙心寺では「修行の妨げなる」として茶道は禁止されていたため、
書院に隠れるような形で茶室がつくられたとのことです。










侘の庭で、外露地(思惟の庭)と内露地(侘の庭)を分ける中門に相当する「梅軒門」。
新緑と苔が本当に美しいです。
最近は新緑を「青もみじ」と呼ぶケースが増えていますが、「新緑」という美しい日本語の方が個人的には好きかな。






書院の右側に石灯籠と蹲踞(つくばい)、そして坪庭「清浄の庭」との区切りとなる花頭窓の渡り廊下






渡り廊下の下にも、ちゃんと石などが配されているきめ細かさ







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拝観順路とは逆になりますが、侘の庭に続く「思惟の庭」が外露地に相当します。




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名勝庭園にふさわしい端正な織部灯籠(切支丹灯籠)。
桂春院を創健した織田秀則はキリスト教の洗礼を受けたと伝えられています。



真如の庭








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真如の庭の直線的に剪定された美しい生け垣。
作庭者とされる玉淵坊は、直線的な意匠を好んだ小堀遠州の弟子であることも影響しているのでしょうか。










紅葉の季節も庭に彩りが添えられ、新緑の初夏とはまた異なる美しさ







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妙心寺は多くの観光客が訪れる寺院ではないので、
平日ならひとりでこの庭を独占し、新緑と苔に包まれた贅沢な時間を過ごすことができるかもしれません。
静かに庭が見たいときにふらっと立ち寄れる桂春院は貴重な存在です。




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