

近代建築遺産の水路閣を越えたところに建つ南禅院。現在は南禅寺の塔頭の一つとなっていますが、元々は南禅寺発祥の地とされています。
鎌倉時代に造られた貴重な庭園として、国の史跡及び名勝に指定されています(詳細な説明は公式サイトを参照してください)。


いつもはあまり混雑しない、山の中腹に抱かれた静かな寺院なのですが、紅葉の季節は受付で行列ができるほどの人並み。
ただそれでも大混雑というほどではなく、時折静かな時間と空間を楽しめました。


多くの人の目当てはやはり紅葉。
今年(2025年)は例年よりも色づきが疎らな印象もあるのですが、南禅院の境内は「錦秋」という言葉がぴったり当てはまる美しさでした。

方丈(本堂)の前に拡がる上池。鶴島と亀地から成る蓬莱島が造られています。


上池は「曹源池(そうげんち)」とも呼ばれています。曹源池の名前の由来は、中国の著名な禅僧、慧能が住んでいた「曹渓」の水源地から。
禅宗では「曹源一滴水(そうげんのいってきすい」
(慧能が住んでいた曹渓から流れ出た水が大河に、すなわち慧能の教え=曹源の一滴=が世界に広まったという意味?)という言葉で有名です。
曹源池は、天龍寺の池泉庭園の名称にもなっています。


鶴島の鶴羽石とその背後に流れる龍門瀑(りゅうもんばく、鯉の滝登りを表す「登龍門」の故事に因んだ滝)

方丈からもその流れが見える龍門瀑は意外に小さいですが、大きな存在感。
南禅院の庭園は、公式サイトでは亀山天皇が造ったと記されていますが、
曹源池という名前、天龍寺の庭園との類似性から、南禅院の庭園も夢窓国師の作庭との説も出ています。



鶴島と亀島。今にも動き出しそうな亀島の造形が印象的です。


それなりの人出で賑わっていた南禅院ですが、
訪れたときはインバウンドの人が少なく、大半が国内旅行者でした。
新緑など他の季節では紅葉の時ほど混雑しないので、ひとりの時間をゆっくりと堪能できると思います。
新緑の初夏 ![]()



新緑の南禅院。方丈から庭を見ると、夏は緑一色で、文字通り「心が洗われる」のを実感できます。
2025年は年末まで方丈の修理と池泉庭園の整備が行われているそうですが(その間は11月だけ特別公開)、
確かに以前の写真では島の全貌がわかりにくいかも。


方丈は江戸幕府第五代将軍、徳川綱吉の生母、桂昌院が1703年(元禄6年)に寄進しました。
桂昌院は京都の八百屋に生まれ、江戸城大奥に入って綱吉の母となりました。
権勢を好んだ女性とされていますが、数々の寺院に寄進を行った信心深い側面ももっと評価されるべきと思います。
方丈の西側にある池は「下池」(心字池)。
雪景色 ![]()

緑が色濃い南禅院も、いったん雪が積もれば白一色の別世界。
京都では貴重な大雪の一日、南禅院は山の麓に建つことから、きっとまだ雪深いだろうなと思い、訪れました。



予想通りの大雪(京都ではこのレベルで大雪です)、 いつも見慣れている景色と異なる庭を観ることができて感激


ただ、庭の原型が全くわからないほどの積雪で、庭を観に来たと言うよりも雪を眺めに訪れたような感じですね。
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境内の茶室・龍渕窟。特別公開時には、表千家社中による呈茶席が設けられることもあるようです。
葛屋形灯籠と苔むした手水鉢、楓の落ち葉が枯れた美しさ
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