三渓園 (横浜市中区)  東京・関東の庭園  MAP  トップページ



臨春閣 聴秋閣 






横浜・本牧の広大な敷地に広がる、本格的な日本庭園の三渓園。
門を入ると、一挙に視界が広がり、大池の向こうの小高い丘に三重塔という壮大な風景!







池に浮かぶ小舟は、日本の原風景ですね。
これまで近代に造られた個人の邸宅では東京・椿山荘が最大の規模と思ってましたが、上には上があるものですね。

規模の大きさ、庭園内の建物の配置などはこちらの地図を参照してください。






庭園を造った原三渓の私宅だった「鶴翔閣」の庭園。原三渓という人はあまり知らなかったのですが、横浜を舞台に活躍した大実業家だったんですね。
それにしても、全国から文化財を集め、個人でこれだけの規模の庭園を造った財力と文化的な創造力はもっと評価されても良いのでは?と思います。






こちらは、織田有楽斎が造ったと言われる茶室「春草廬(しゅんそうろ)」









窓の配置が美しい茶室。さりげなく設置された蹲踞(つくばい)にも歴史と品格を感じます。









ただ春先に訪れたとき(上の写真)と異なり、真夏(下の写真)の春草廬は雑草に覆われて、露地庭の雰囲気が損なわれている印象も。
他の場所に関しても、蜘蛛の巣で覆われていたり、雑草が生い茂っていたり、という場所が多かった気もします。
広大な庭園ゆえに仕方がないのかなと思いますが、700円という入園料を徴収している以上、ある程度の整備は必要ではと考えたり。
これに関しては自分の中でもどちらが良いとは判断できないですが、貴重な文化財の周辺だけは本来の姿を鑑賞できる環境になっていてほしいかな。





臨春閣 聴秋閣 

訪れる前は、結局全国からカネにモノを言わせて文化財を寄せ集めただけで、
この庭園を手がけた原三渓という人のことも戦前の成金くらいにしか思ってなかったのですが、
実際に訪れてみると生粋の趣味人だったんだなぁ・・・とこれまでの偏見が雲散霧消しました。
特に三渓の私的空間として創造された内苑には、紀州藩の御殿だった臨春閣をメインに、

秀吉大政所ゆかりの旧天瑞寺寿塔覆堂、二条城に設けられた聴秋閣、
伏見城の一部だった月華殿、鎌倉の廃寺から移築された天寿院などの建物が点在してるのですが、これがまた何とも絶妙な配置。
臨春閣の周辺はあくまでも御殿に相応しく雅やかな雰囲気
覆堂はどこかの鄙びた里にぽつんと建ってる風情に、 というように見事に建物の持つ特徴を熟考したうえで、
適材適所に配置されているのには驚きました。原三渓、侮りがたし。美的な感覚に優れた人だったんだなぁ・・・・・。
三渓は臨春閣の周辺の整備に当たって高台寺を参考にしたそうですが、
高台寺よりもしっとりとした風情を出すことに成功してるような気もします。


臨春閣(旧紀州藩別邸) 聴秋閣(旧二条城楼閣)




旧天瑞寺寿塔覆堂 天授院 月華殿 春草廬(旧三室戸寺金蔵院内)

三渓園は大きく内苑と外苑に分かれます。内苑の建物や構成を観ていると、
「建物はもともと本来の場所にあってこそその良さが味わえる」という意見もありますが(自分もそう思っていました)、

ここまで完璧な環境が整えられているのなら、移築という手段もそれほど悪くないのかもと考えを改めました。
三渓園はこの「移築による文化財の寄せ集め」というイメージで過小評価されているというか、損をしているかもしれません。

旧矢箆原家住宅 旧東慶寺仏殿 旧燈明寺三重塔 旧燈明寺本堂
 
一方で外苑。大池の向こうにそびえる三重塔や旧東慶寺仏殿は三渓が移築しただけあり、雰囲気も調和性も全く問題ありません。
ただ、三渓亡き後に行われた外苑の移築はどこかアンバランスな印象も。
東慶寺仏殿の横に合掌造りの民家があり、なぜ唐突に燈明寺の本堂が??
内苑に見られるような、建造物の特徴を考え抜いた上での環境づくりがほとんど考慮されていない感じを受けます。

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