
麓寿庵 久保家住宅(今尾景年旧宅、元・料亭瓢樹)
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久保家住宅は大正3年(1914年築)、京都画壇の今尾景年の元邸宅として建てられました。
最近まで料亭の「瓢樹」がここで営業していましたが、
訪問する機会がないまま閉店(現在は東山三条で高級仕出し料理店として営業)。
この場所を訪れることはもうできないのかなと思っていたところ、
新たに茶寮「麓寿庵」として営業されていることを知り、急きょ訪問しました。

麓寿庵で見学できる庭は三カ所。
今尾景年の旧宅だった由緒もあることから、店に入ると、スタッフの方が各庭や茶室、
今尾景年の経歴(詳細はwikipediaのページへ)についてとても丁寧に説明してくださいます。
次から次へとお客さんが来られるのですが、各人に付き添って説明されるスタッフの方のサービスに脱帽。


石の渡り廊下の上を通り、両側の坪庭と池泉庭園を観ながら、客室へ。


池泉庭園は渡り廊下と客室からのみの鑑賞なので全体像は把握できなかったのですが、
石燈籠や樹木の剪定から洗練された構成になっていることが分かります。

そして、案内された席は奥庭に面した一等席。年代物の大正ガラス越しに観る庭は絵画のような美しさでした。


磨き抜かれた黒の机に映り込む庭の景色も見事な美しさ。
机はもちろん室内に置かれているのですが、鏡のように机と窓と双方に反射して幻想的な写真に。

奥庭は自由に散策することができます。

一見すると狭い感じなのですが、実際に庭に出てみると意外に奥行きが。

少し背が高めの石燈籠は、気高くて端正な美しさ。
写真左側の黒い石(少し見えにくいですが)は平安時代に作られた燈籠の石だそうです。

味わい深い自然石の蹲踞(つくばい)

それにしても、木々と苔の新緑が見事な美しさ。お客さんでにぎわう店内とは別世界の静寂な世界でした。
麓寿庵の茶寮としてのメニューは「わらび餅」の一点のみ。お茶はほうじ茶、抹茶のいずれかを選ぶことができます。
わらび餅はとても美味しく頂いたのですが、何よりもこの芸術的な美しさに惹かれました。
緑濃い庭を観ながらこのわらび餅を頂く時間と空間は本当に贅沢でした。

部屋に通していただく前に見学させてもらった茶室

床の間には今尾景年の絵が展示されています。注目は床柱の盛り上がり。猿の形に似せて作られたそうです。


茶室に面した空間には枯山水の坪庭。蹲踞(つくばい)の石は大極殿の礎石で作られたとか。


それぞれの庭に置かれた花手水

芸術的な雰囲気に包まれ、美しい庭を観ながら絶品のわらび餅を頂ける麓寿庵。
スタッフの方の対応も完璧なので、絶対的にお勧めです。


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