
白砂青松の小径を上がったところに建つのは、書院の寿月観(じゅげつかん)。
壮大な上御茶屋とは異なり、簡素でありながら繊細で、風雅な趣を湛えています。
雄大さを好んだとされる剛毅な後水尾上皇ですが、美的な感覚はとても幅広く、さすが当時屈指の風流人。

寿月観の「一の間」。広さは15畳で、上段は3畳。飾り棚の天袋と地袋の絵は原在中の作品。


寿月観前の飛び石。白川砂が敷かれた前庭の大きなアクセントに。



周囲の庭には、苔の中に袖形燈籠などが配置されていたり、幽玄さと開放感を兼ね合わせた雰囲気を持っていたり、
見応えはあると思うのですが、参観では特に立ち止まらず過ぎていくので、落ち着いて見学する余裕はありません。

陽光を受けて光り輝く苔庭も一瞥するだけ。
5分でもいいので、ゆっくり鑑賞する時間があればうれしいです。


下離宮に入るときは、参観者も上皇もお使いになった御幸門から。
こけら葺きの屋根を持つ簡素な造りですが、扉には後水尾天皇お気に入りの意匠「花菱」の透かし彫りがあります。
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