瓢亭訪問記 瓢亭の庭 料亭の庭






高級料亭の代名詞として有名な瓢亭にはいつか訪れたいと思っていましたが、
由緒ある庭と建物がある本館での食事は金額を考えると庶民には雲の上的存在。
ただ7月と8月には比較的お手頃な価格で朝粥を頂けるので、
またとない機会と思い、東京の友人を誘って出掛けました(予約は公式ホームページの電話で受付)。



敢えて訪問記を書こうと思ったのは、やはり料理があまりにも美味しすぎたから。
これまで庭目的でいくつかの料亭を訪れましたが、瓢亭の朝粥はその中でも特に絶品でした。


(おそらく造形礼賛では吉川に次ぐ2回目の食レポです笑 写真も説明もイマイチですがご了承ください)



まず「お暑い中お越しくださったので、さっぱりとしたお茶をどうぞ」と、梅昆布茶が出されます。
このお茶は本当に口がすっきりする美味しさで、この時点でこれから出てくる料理に期待が高まる友人と自分。
そして余りにも有名な瓢亭玉子と鯛の笹寿司、瓢箪型の三段重が登場!
三段重の中にはそれぞれ和え物や酢の物、茄子の田楽などが上品に盛り付けられています。

このうち特に白味噌で和えられた田楽は、オーバーではなく、涙が出るほどの美味しさ。
友人ともに言葉をなくすほどでした。



その後に出された海苔と豆腐のお椀は海苔の香りと出汁の味わいが最高で、
鮎の塩焼き(本館での朝粥のみ)は香ばしくて鮎独特の苦みも絶妙。
メインとなる朝粥はとろりとした葛あんをかけて頂くと、出汁とお米のふんわり感が口の中に広がり、
本当に幸せな気分に。
朝粥は意外にボリュームがあり(お茶碗2杯分以上?)、朝からけっこう満腹になります。



訪れる前は「まぁ半熟玉子に朝粥だけやけど、雰囲気を考えたら行く価値あるな」
くらいにしか思っていなかったのですが、
実際に味を堪能してみると、「この朝粥を食べるために毎年上洛する人がいる」という伝説のような話も、
まんざら嘘じゃないなと思いました。
反対に口コミサイトなどで見当違いの批判などを書いてる人をみると、
美食家じゃない自分でも「これらの人ってこれまで本当の和食を食べたことのない人なのかな」と思ってしまいます。

他の料亭も十分に水準以上に美味しいですが、今回の訪問で瓢亭は別格だなぁとあらためて痛感しました。

(瓢亭と並び称される某高級料亭には、今ほど有名じゃないときにたびたび訪れたことがあるのですが、
目新しい素材を重視するその料亭より、どこにでもある素材を吟味し、出汁などの力で絶品に変えてしまう瓢亭の方が個人的には好きです)。





瓢亭の朝粥は本館だけでなく、別館でも頂けます。料金は本館が6975円、別館が5445円(23年7月時点)。
別館では鮎の塩焼きが供されないなどの違いがありますが、お味はどちらも同じのようです
(ただ個人的には、やはり伝統的な庭と建物で朝のひとときを過ごせる本館が絶対的にお勧めです)。






料理では大きな大きな感動を与えてもらったのですが、少し残念だったのは従業員の方の応対でしょうか。
南禅寺参道にある某有名旅館もそうでしたが、対人サービスはやや機械的な対応。
完璧なサービスだった菊水吉川その他の料亭に比べると事務的な感じは否めませんでした。

時間枠のある予約なので少し慌ただしくなるのは仕方がないのですが、なんとなく急かされている感じもあり、
お部屋の担当の方、帰り際に見送る方ともに笑顔はなく、目を見て挨拶、会話されることもなく――。
庭の説明を伺った時に、「さぁ。誰が作らはったんでしょう」という対応にも少し驚きました。
決して無礼ではなく、ふつうのお店だったらそれなりのサービスだったのかもしれませんが、
京都を代表する料亭で、料理が芸術的なレベルだっただけに気になってしまったのかもしれませんね。


ただお店を出るときには、玄関で大女将と思われるとても上品な和装の女性が、
笑顔で客一人一人に丁寧にご挨拶され、この時はまさに一流のご対応と感動しました。








木漏れ日がつくりだす瓢亭の庭の光と影。
それによって変化する苔や延段の美しさは日本庭園、特に露地で引き立ちます。





         
         
       
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