大徳寺真珠庵 方丈東庭



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東庭「七五三の庭」 国指定名勝・史跡   






真珠庵訪問でいちばん楽しみにしていた方丈東庭。
多くの参拝者は現代作家の襖絵がお目当てだったのか、スタッフの方の説明がある時間帯、庭を観る人はほとんどいません。
それなりの参拝者で賑わっていましたが、けっこう一人で庭を観る時間があったのはうれしかったです。










狭い場所に、単に石が並べられているだけのような印象も受けますが、
ずっと眺めているとじわじわと独特の世界観が広がってきます。










方丈の中から眺めていると狭い感じもしますが、縁側に出てあらためて俯瞰すると、意外に広く、奥行きも












南側から順に七個、五個、三個の石組みで構成されています。室町時代に村田珠光が作庭したとされ、国の名勝・史跡に。
苔と白砂に浮かぶ石は500年以上も前からここに存在してきました。さて、何を語り、伝えようとしているのか。










東庭の向こうに開かれた木戸は通僊院と庭玉軒に通じています。
撮影禁止でしたが、いやー見事な茶室と露地でした。
特に庭玉軒周囲の造形は簡素でいて、静かな華やかさとリズム感にあふれ――。
この素晴らしい露地は飛騨高山の城主の子息、金森宗和(金森重近)の作と伝えられています
(宗和の菩提寺は、比叡山の額縁門で有名な寺町通の天寧寺です)。
おそらくこれまでに見学した露地の中でも白眉の存在で、
「簡素な中の美しさ」を伝えています。京都、日本の美の極致ですね。

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参拝料は2000円。特別公開で初めて撮影可能になったものの、
SNSでは「撮影禁止エリアもあり、高すぎる」との声も出ているようですが、
見事なまでに美しい名勝の通僊院や庭玉軒の露地、方丈東庭(現代作家の作品に興味がある方にとっては襖絵も)を鑑賞でき、
その一部が撮影可能と考えると、参拝料の価値は十分にあるかなと思いました
(撮影は原則としてスマホでのみOKです。ただやはり通僊院の庭が撮影可能だったら、さらにうれしかったかなと思います)。
襖絵や庭の説明をされるスタッフの方はとても丁寧で、親切なご対応。
学生らしき方もいらっしゃったのですが、言葉遣いから真珠庵に関する知識まで完璧でした。

真珠庵の隣は枯山水の傑作で有名な大仙院
ぜひこちらも参拝され、真珠庵、黄梅院などとともに日本で最も美しく、洗練された枯山水を鑑賞されることをお勧めします。


真珠庵の紅葉


       
 大仙院    黄梅院
     
       
 瑞峯院    龍源院





【個人的な追記】

真珠庵は冒頭に「ゆかりのあるお寺」と書きましたが、
京都府の文化財技師をしていた祖父の伝手で、新婚時代の両親が真珠庵で暮らしていたという経緯があります。
このため公開とは関係なく、数回ほど、両親と一緒に真珠庵を訪ねたことがありました。
時は流れ、今や当時のことを覚えていらっしゃっるご住職や関係者の方は他界され、今回の訪問でももちろんお会いすることはできず。

このため御朱印帳や参拝記念品を販売しているコーナーにおられた若い僧侶にご挨拶させてもらったところ、
周りに参拝者がおられるわけでもなく、ほんの少し2、3分ほどの対話なのに、こちらとは目も合わせないままのご対応。
若き時代を真珠庵で過ごした両親の思い、仏縁のありがたさを伝えたかっただけなのですが――。
せめて一言、「現住職にお伝えします」あるいは「よくお詣りに」のひとことをいただければ、どれほどうれしかったでしょうか。
以前、真珠庵とは別の大徳寺の塔頭の前ご住職とこのお話をしたときに
「それは素敵な仏縁やな」と笑顔でいろいろお話しくださった時と比べ、当の真珠庵での対応にはやはり寂しさを感じました。
それ以前に、対面の会話で相手の目も見ないという社会人としての対応、久々に体験した気がします。





大徳寺の境内

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