好きな庭 名庭十撰



好きな庭は?と尋ねられると、
やはり筆頭は大仙院桂離宮

皇室関連の京都御所醍醐寺三宝院などの雅な趣、
大徳寺妙心寺東福寺など禅刹の凜とした雰囲気も好きですね。
最近は、極めて狭い空間に創られた京都の町家の坪庭に対する興味が強まっています
(具体的には名庭十撰のページに掲載した庭が好きです)。

庭を好きになったきっかけは、南禅寺の塔頭「天授庵」だったと思います。
出身高校への用事の帰りになにげなく訪れた天授庵で初めて
「へぇーお寺の庭園ってこんなに良かったのか」と認識した覚えが。

それから時間を見つけて、庭を観賞するために出掛けるようになりました。
そしてだんだんと自分の好みとかが出てくるようになり、
整備された美しさではなく、どこか陰影があったり、
計算し尽くされながらも、雅やかな雰囲気がある庭が好きなことに気付きます。



反対に余りにも「鄙」の雰囲気が強いと、
これら要素のどれかを充たしていたとしても、好きになれないですね。

例えば、万葉集と古今和歌集。
自然の美しさを讃え、心の叫びを素直に表現する万葉集に対し、
技巧や言葉遊びを駆使してわざとらしく「自然」を装う古今和歌集。
自分の場合は万葉集が苦手で、どちらかといえば古今和歌集が好き、
というのと同じような感覚かもしれません。



庭に限らず、寺院の雰囲気などでも同じ感覚でしょうか。
草むして朽ちかけた藁葺き屋根に紅葉がはらはらと落ちる庵よりも、
楓の木の側に宋や明渡来の手水鉢がさりげなく置かれている塔頭。

鎌倉よりも京都。嵯峨野よりも東山
ありのままの自然より、
手を加えて「演出した自然」が好きというのも、可愛くない好みかもしれませんが。
地元の京都ではけっこういろんな庭園を周ったけど、
天龍寺や大覚寺を除き、嵯峨野が少ないのは個人的なこういう嗜好が影響していると思います。



あと、なぜか悠大な大名庭園は苦手です。
細かいところまで手が行き届いてる庭もありますが、
広大な「公園」と同様に、茫洋としたイメージしか感じることができません。
もちろん大名庭園の雄大な景色に圧倒され、「美しいなぁ」と感動はするのですが、
どこか「綺麗な公園」と思ってしまいます。
やはり日本庭園の魅力は、
「限られた空間でいかに独自の世界観を創り上げるか」ではないかと再認識しました。
広すぎる庭では「凝縮した美しさ」「箱庭の中の宇宙」を感じることができないからかもしれません。
ただ桂離宮修学院離宮醍醐寺三宝院など大名庭園ではない広い庭は好きなんですけどね。
規模の大きさよりも、「雅やかさ」や「緻密さ」が前面に出ているためでしょうか。
偉そうに言えば、
庭園っていろいろな意味で量より質だなといつも思います。

庭を床の間に例えると、
季節感を大切にしながらも、掛け軸と一輪挿しなどしか置かれていない京風の簡素な床の間と、
東京その他の地方に良くある「家宝をできるだけ並べてみました」的な床の間。
どちらを眺めているのが好きか、というような個人的な嗜好の違いなので、甲乙はないのですが。







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